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構造現し

地域ごとに違う古建築の醍醐味は、小屋裏のダイナミックな構造形式であると考えています。町家としては2階も居住が十分可能な高さが確保されており、1階店舗 2階住居だったと推測されます。この改修では、天井裏に隠されていた屋根構造を現し(あらわし)にして見せるようにしました。また同時に屋根の下に断熱材も入れて隙間なくラワン合板を貼っているので、断熱性能も上がっています。

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街道に開いた玄関

高浜の海際の家の特徴で、冬の強風から守るため玄関を風除室のように2重にすることが今でも一部残っています。今回の改修では、風除室のように入り口の引き戸を2重にし、街道に面するスペースを開放できるようにしました。改修によってまた街道との結びつきが強くなって、立ち寄りやすくなります。

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薄暗くない町屋

街道沿いの町屋は一般的に間口に比較して奥に長く、両隣が隣接して建てられているので、中が薄暗い印象になっていることが多い。今回の改修では、両側の壁の耐震壁を補強し必要壁量を維持しつつ、限られた窓からの光が1階にも2階にも入るように壁の配置の工夫をしています。改修でここまで明るくできるということを、以前の状態を知っている方にぜひ見に来てほしいと思います。

 

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水回りの設置

改修前に学生などが宿泊する際には、水回りが1階にありセキュリティなども懸念材料でした。今回の改修では、2階に宿泊するために簡易宿所としての基準を満たすべく、シャワー、トイレ、洗濯機、キッチンを2階に設置しつつ、新たなパイプスペースを事務室横に設けているので、すっきりと見せています。設備屋さんの頑張りも縁の下の力持ちです。

5

大工の持つ技術

長年の荷重で建物の2階が少し傾いてきており、柱だけでなく床も同様に傾いていました。この改修では、高浜の大工さんの知恵と技術を出し合って、床の傾きを感じさせない素晴らしい仕事をしてくれています。目立たないけれども、違和感を感じないというのも、素晴らしい仕事です。

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ゲストハウス

今回の改修では、階段の位置を街道側に移動させ、街道沿いの外側の引き戸を夜間開放することで、2階への出入りが自由になります。2階へのセキュリティは、ゲストハウスでも使用するナンバーキーで担保されます。友人が来られる際には、一緒に宿泊されてみてはいかがでしょうか。

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伝統的な建具

日本の建具の特徴は、鴨居(かもい)の高さが地域によって統一化されており、入れ替えが可能であり、季節に応じた可変性を持ったエコなシステムです。今回の改修でも、今は作れないような繊細な建具や欄間を、設置場所を入れ替えて再利用しています。

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サロン

改修以前には和室には土壁があり人数が多くなると使い勝手が限られていました。土壁の耐震壁の壁量を、建物両側の壁補強で置き換えることで、土壁のない広い空間をつくりだしました。照明も配線ダクトによって移動可能ですので、使い方によってはまた天井から仕切りを吊る等、様々な使い方が出来す。

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受付と街道

昔の街道の写真をみると、今の受付の場所から街道が見えるような窓がありました。今回の改修では、受付を街道に面し、昔の姿に近くなるようにしましたが、建具はあえて焦げ茶色に塗らずに徐々に色が変わっていくようなクリア塗装とし、改修された雰囲気が街道まで現れるようにしています。

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電気配線の大掃除

小さな改修を繰り返すとどうしても電気配線が露出になり、町家の雰囲気を壊してしまいがちです。今回の改修では、縁の下の力持ちのようですが、全ての電気配線を新しくし、漏電からくる火災予防だけでなく、見た目もすっきりさせています。メンテナンスも出来るようになっており、時代に合わせて今後も永く使われていける丁寧な仕事がされています。

ALL PHOTO BY  Yohei Sasakura